『つらかったことが、今の私をつくっている』
中学生くらいまでは、自分の意見を言わない(言えない)大人しい子どもだった。とくに初対面の人と話すのは、大の苦手。誰とでも上手に話せる子が、うらやましかった。中学2年生の時に、両親が離婚。悪いのは、明らかに父。私が「もう別れてもいいやん」と言ったら、すぐに母は離婚した。言った私も驚くほどのスピード感(笑)。同時に、母はずっと我慢していたことに気づいた。中学3年生で母の実家のある伊丹へ。受験校は変わるし、もちろん友だちもいない。でも、自分の言ったことだから、弱音は吐きたくなかった。思いきって知らない子に声をかけた。とにかく自分のことを知ってもらおうと思った。少しずつだけど、仲のよい友だちができた。卒業する頃には、大好きなクラスになっていた。
人生の大きな転機は、もうひとつある。それは、1995年1月に発生した「阪神淡路大震災」。神戸三宮に勤務していた私は、1週間後に、代替バスに乗って、神戸に行った。街がぐちゃぐちゃに壊れていた。日常が突然なくなることを知った。この時からずっと「生かされている」という感覚を持っている。当時のことを思い出すと、今でも泣いてしまう。会社が落ち着いた頃、転職を決めた。悩んだ末の大きな決断。でも、したいことを、挑戦しないまま終わるのがイヤだった。生かされている私は、精一杯生きないといけない。
今、私はたくさんの信頼できる仲間に囲まれている。ライターという仕事にもめぐりあえた。作文教室も開講した。振り返ると思う。両親の離婚があったからこそ、人に声をかける勇気を持てた。阪神大震災を経験し、日常や命の尊さを知ったからこそ、挑戦することの大切さを知った。
つらいこと、しんどいこと。その真ん中にいる時は、真っ暗でなにも見えない。だから必死にもがく。
でも、私自身の生き方を変えるターニングポイントだった。それは間違いない。
【ゲスト】坂本恵利子(さかもと えりこ)ココスキ代表/こども作文教室「コトバのチカラ」主宰/フリーライター
1972年9月生まれ。大阪市出身。尼崎市在住。ライター歴17年。三宮の貿易会社に勤務。阪神淡路大震災を経験。その後、新聞社のアルバイト、雑誌編集プロダクションを経て、フリーライターに。2014年、尼崎ソーシャルビジネスコンペに「作文力向上事業」で応募。ファイナリストに選出。2015年2月に、こども作文教室「コトバのチカラ」を、尼崎、伊丹にて開講。商業施設、図書館、小学校でもワークショップを開催。2017年、女性の働き方を応援するチーム「ココスキ」を設立。そのほか、「尼ノ物書キ組」局長。「みんなのサマーセミナー」副実行委員長など、色々やってます。お酒大好き。
【写真撮影】西ゆきえ
関西を拠点としてフォトグラファーとして活動しています。女性の目線でその人の良さを引き出し人の気持ちに寄り添う写真を撮影。出張プロフィール写真、自宅サロンやweb用素材,ホームページ用撮影、セミナー、イベント、音楽発表会などを撮影。初心者向け一眼レスカメラレッスン、プライベートスマホカメラレッスンなど開催。https://www.24photo.net/